ART
採卵
体外受精(IVF)
顕微授精(ICSI)
胚培養
胚移植
胚凍結
当院のARTの特徴
- 卵胞期の管理
良好な卵子を得るために、卵子が卵巣の中で成熟していく卵胞期の管理から始めます。特に最後の2ヶ月間が重要です。本来体内に存在しないhCGホルモン製剤を使用せず、自然に近い状態で排卵を促す方法を取り入れております。
- 卵巣刺激法
主に自然周期・低刺激法を中心とする体外受精を行います。特に、卵巣機能が低下したケースでは周期毎に卵巣の状況が変化しますので、ケース毎に柔軟に対応します。
- 採卵
極細針を使用しますので痛みや出血は軽度です。全身麻酔処置は必要ありません。身体に大きな負担をかけず通常数分間で採卵が完了します。短時間の安静時間(10分~40分)で帰宅します。
- 胚移植
体外で育てた胚を子宮に戻します。カテーテルという細い管を用いて経腟超音波で確認しながら子宮の底部に移植します。尿を貯める必要はありません。何らかの理由で子宮内膜に問題がある場合は胚を凍結保存し、子宮内膜が良好な周期に移植します。
卵巣予備力に応じて
月経周期毎の卵巣の状態は一様ではなく、ひとりひとりの卵巣予備力も異なります。なかむらアートクリニックでは、主に自然周期、低刺激法を中心とする体外受精を行いますが、アンタゴニスト法などの高刺激法も多数経験しておりますので、両方の視点から答えを探るように努めたいと思います。卵巣機能が極めて低下した状態のため、もうその治療法しか選べない状態での自然周期採卵は意味があるかもしれませんが、偏った情報から卵巣機能が良好であるにも関わらず自然周期採卵に固執して遠回りすることは避けた方がよいと思います。実際に刺激法を行っていた立場から、同じ刺激法でも内容がかなり異なるというのが実感です。残念な刺激法になっている場合もあります。これまでの経験から、様々なアプローチで赤ちゃんを望む皆さまのお手伝いができればと思っております。
胚移植あたりの生産率(2013年_日産婦)
2013年ARTデータブックより、生産周期数÷胚移植周期数で求めると次のようになります。
胚移植あたりの生産周期数の割合(2013年):
30歳30.7%
35歳26.7%
38歳20.6%
40歳14.9%
43歳5.5%
45歳2.1%
48歳0.8%
流産率
胚移植時の年齢と流産率(2013年_日産婦):
35歳21.0%
36歳21.2%
37歳23.5%
38歳27.2%
39歳30.5%
40歳33.7%
41歳39.8%
42歳46.1%
43歳52.4%
44歳58.0%
45歳61.4%
2013年の場合、流産率は39歳で約30%、41歳で約40%、43歳で約50%、45歳で約60%と、2歳毎に約10%ずつ増加しました。これまでに、48歳の方が妊娠・卒業されたケースもありますが、ただそれは極めて稀なケースです。47歳で妊娠された方もいますが流産となりました。45歳以上で流産率が6割を超えます。ぎりぎり対応できるところで貴重な妊娠・出産につながる方もいますが、流産の割合は加齢により増加します。
45歳
体外受精であっても43歳以上の方の妊娠・出産例は激減します。45歳以上ではとても少ないのが現状です。
2015年1月〜7月の期間で、採卵時45歳の方の妊娠例を数名経験しました。私自身が担当する体外受精の患者さまの中で、新鮮胚移植により4名の方が妊娠され、残念ながら2名は流産となりましたが、2名が卒業されました。体外受精での妊娠例は、注射を併用した低刺激法で採卵したケースが3例、自然周期採卵が1例です。いずれも、胚盤胞でもなく、凍結胚でもなく、新鮮初期分割胚で妊娠されています。高齢だから必ずしも自然周期採卵というわけでもなく、状況に応じて相談させていただければと思います。
遺残卵胞
Day3、超音波検査で遺残卵胞の有無を確認します。30代後半になると遺残卵胞ができやすくなるのは、ご存知のとうりです。多くの方の悩みのタネとなっています。その理由を一緒に考えながら話し合うと、今している治療の意味と自分の卵巣の状態がよく分かるようになり、体外受精の治療に深みが出ると思います。
検査室
処置室の奥にホルモン検査装置と検査用の薬品保管庫を置いています。体外受精治療の場合、当日のホルモン値を見ずには方針を立てれない場面もありますので、ホルモン検査はとても重要な検査です。特に月経3日目と排卵時期のホルモン値が診療には欠かせません。結果は院内LANを通して診察室の電子カルテに取り込まれますが、現在は採血後の遠心分離装置での処理も含め、約35-40分で結果が電子カルテに反映されるようになっています。これまで勤務したクリニックの中では最も最速ではないかと思います。尚、処置室・検査室はとても陽当たりがよいので、光合成のために植物がお邪魔しております。
生殖補助医療における安全管理指針
医療安全管理に関する基本理念
なかむらアートクリニックでは、患者さまに安全で良質な医療を提供することを目的に日常の診療にあたります。クリニックの各職員は医療安全の必要性・重要性を認識し、安全な医療の実施に真摯に取り組みます。同時に、クリニック全体で医療安全管理およびその推進を行います。生殖補助医療の安全管理、医療事故防止の徹底を図ります。